全国の大学や博物館が所蔵し、生み出してきた多種多様な資料。それらを学問の領域を超えた新たな視点で把握し、デジタルデータとして結びつけ、有機的に活用する異分野融合型研究「総合資料学の創成」。大学と博物館・図書館等の連携、デジタル技術を核とする次世代の歴史研究など概要と実践例を紹介し、今後の課題を示したシンポジウムの記録集。 【編集者の眼】 国立歴史民俗博物館(歴博)が、研究プロジェクト「総合資料学の創成」を進めている。「総合資料学」とは、全国の大学や博物館などに収蔵される多様な資料を、人文学・自然科学・情報学など分野を超えた視点で統合的に分析し、高度な共同利用・共同研究へとつなげることをめざした新しい学問である。 構想のきっかけは、3・11東日本大震災という。多くの人命を奪った震災は、地域の歴史資料や文化遺産にも甚大な被害を与えた。これを機に、全国の歴史資料をデジタルデータとして結びつけ..