中国から伝わった象棋は、日本独自の駒とルールにつくり直され、将棋として根付いていった。平安時代の宮廷で高貴な人々が観て楽しんだ将棋は、寺社で大将棋へと発展し、武家社会でも合戦と結びついた兵戯として、また処世の一つとして広まってゆく。賭将棋に熱中する武士や僧、富裕な都市民も多く、しばしば幕府に禁じられたが、日常的な遊戯となって、現在の40枚制将棋が成立する。出土駒や史料をもとに、日本文化として将棋が形成されていく歴史を明らかにする。 目次: 序章 現代将棋の下に埋もれた古い層を探る 一章 将棋が日本に来るまで 1 『象経』と唐代象戯 2 院政時代の文化と日本将棋 3 日本と中国の関係から 二章 中国象棋と日本将棋 1 中国象棋がイメージするもの 2 日本将棋がイメージするもの 三章 日本将棋の始まり 1 平安時代の出土駒 2 鎌倉の出土駒 3 鎌倉時代前期の社会と将棋 四章 武家文化の中..